FUJIFILM X70(導入編)
「サイクリングにどんなカメラを持っていくのか」これは永遠とも思えるテーマです。
これまで、はじめて持ち出したPENTAX Optio S4を皮切りに、Canon IXY DIGITAL50、RICOHGR DIGITAL Ⅱ、FUJIFILM FinePix F200EXR等々、様々なデジタルカメラを使ってきました。
私のようにロードレーサーでのサイクリングを楽しむ場合、荷物はできるだけコンパクトにしたいもの。
ウエストポーチやリュックを用いるのでなければ、原則サイクルジャージの背中ポケットに入ると言うのが絶対条件となります。
一方で、サイクリング中は絶好の撮影機会であることも事実。
自動車より速度域が低い上に、どこでも停車できるのは自転車ならではの魅力です。
実際、私のサイクリングにおける行動範囲では、思わずシャッターを切りたくなる光景に多々出会います。
そして、そんなサイクリング中の写真が仕事に役立つ(パンフレットやWEB等)こともこれまた多く、写りにも妥協はしたくありません。
そんな大義名分に生来の物欲も加わり、サイクリングカメラ選びは終わりなき旅となっているのです。
ここ一年ほど、そんなサイクリングカメラのメインはCanon PowerShot G7X(以下G7X)が担ってきました。
1.0型とコンパクト機では比較的大きなセンサーを採用し、換算24mm-100mmの4倍ズームレンズも装備。
そして以前のPowerShot S120譲りの操作体系への慣れもあり、非常に使い勝手のよいカメラです。
ネックはサイズの割に重い(約304g)ことと、広角端絞り開放付近での画質(周囲の流れが大きい)ことくらいでしょうか。
これを補うカメラとして一時期RICOH GR(中古で購入、以下GR)も使用しましたが、画質や使い勝手等総合的に判断して手離してしまいました。
にもかかわらず今回単焦点のFUJIFILM X70(以下X70)を選択したのには、いくつかの理由があります。
最も大きな理由は、サイクリング、写真双方の友でもあるSさんの影響。
同じくG7Xに加えFUJIFILM X-T10を使用するSさんのブログを拝見し、その写りに感嘆したことが直接のきっかけとなります。
単焦点レンズを中心に揃えているとは言え、明らかにコンパクトデジカメとは異なる写真の数々。
それらを見るにつけ、同様のセンサーに単焦点レンズ(開放F2.8のパンケーキレンズではありますが)を備えたX70ならとの期待が膨らんでいきました。
もちろんそれだけではなく、私自身これまで使ったFUJIFILM製カメラの画質や性能に魅力を感じていたことも事実です。
特に、JPEG撮影での画質、フィルムシミュレーション、スーパーiフラッシュ(これは他の追随を許さない)、オートホワイトバランスの優秀さには好印象を持っており、これらへの期待も大いにあります。
大きさ、重さ(約340g)に不安はあったものの、過去に持って走ったことのあるSONY DSC-RX1(約482g)やCanon PowerShot G1X Mark Ⅱ(約553g)に比べればまだ軽いと自分を納得させます。
そんな訳で入手したX70。
パッケージは昨今の流れ通りシンプルですが、内箱には“X”の切れ込みがあるなど、こだわりも見せています。
箱から本体をそっと取り出します。
スペック上の横幅はGRの方が大きい(約4.5mm)のですが、そうは感じられないサイズ感。
手に取った瞬間の重さとあわせ、思ったより大きく感じました。
沈胴式でないレンズ及びチルト式背面モニタにより厚みが1cm近く厚いことも要因でしょう。
正直、直感的には「失敗したか!?」と思ったことも事実。
しかし、重さはG7Xと比較して約36gの増(G7X Mark Ⅱと比較すると21gの増)に留まります。
実際にポケットに入れて走るまでは、予断を入れないように心がけました。
このカメラをPowerShot G7Xと比較した場合の相違点は、大きさ、重さ以外に主に下記のようになります。
・APS-Cセンサー
・単焦点レンズ(換算28mm、開放F2.8)
・下向きにもチルトする背面モニタ
・独立したシャッターダイヤル、絞りリング等の操作系
・アクセサリシュー
・1/4000秒メカシャッター(開放では1/1000秒まで)
・レンズバリアの有無
写りに関しては上の二点が重要です。
センサーはより大型かつローパスフィルターレスで、より高い解像感が期待されます。
レンズの開放F値はG7Xに軍配が上がりますが、センサーサイズも考慮しボケ味がどう出るのか興味あるところです。
使い勝手に関しては三点目、四点目でしょうが、G7XもMark Ⅱになって下向きチルトにも対応しています。
五点目のシャッター速度に関しては、メカシャッターの上限1/4000秒が使用できるのはf8より絞った時となります。
これはレンズシャッターの構造的な問題ですが、より高速シャッターが必要となる開放付近で1/1000秒が限界となるのはいささか残念です。
しかし、電子シャッター(1/32000秒まで)が備えられているので、被写体によってはこれでカバーできるでしょう。
最後六点目は、実は使い勝手に最も大きく関与する部分かもしれません。
同様にAPS-Cセンサーを搭載するコンパクトデジカメRICOH GR Ⅱともよく比較される部分ですが、X70にはスイッチのON/OFFに連動するレンズバリアが備えられていません。
このため、レンズキャップを使用することとなりますが、この点に関しては後述します。
さて、まずは操作系に着目しながら本体を見ていきます。
上にも書いた通り、撮影に当たっての操作系がこのカメラの特徴的な部分です。
あえてフィルムカメラ時代の操作感を残し、デジタルに最適化していない操作系をどう感じるのか、好みが分かれる点でしょう。
私は、これはこれでありだと思います。
双方に一長一短がありますが、デジタル一眼レフ機ではほぼすべて絞り優先モード(Av)を使用する私にとって、この操作感は悪くありません。
シャッタースピードダイヤルは“A”に固定したまま、左手で絞りリングを操作すれば、自然と絞り優先モードでの撮影が可能です。
片手での操作は難しくなりますが、手ブレを防ぐためにも左手でレンズ周辺をホールドすることは有効です。
ちなみに、サイクリング時スピーディーに撮影する場合、絞りも“A”に設定し、事実上のプログラムオート(P)モードで撮影しています。
シャッタースピードダイヤル横にある“AUTO”切り替えレバーは、手前に引けばワンアクションでアドバンストSRオートに切り替えることができます。
他人にシャッターを切ってもらう場合などにも有効かもしれません。
絞りリングとともにレンズ外周部にあるコントロールリングは、MF時のピント合わせに使用します。
物理的なピントリングと異なりストロークも大きく使いやすいとは言えませんが、少なくとも他のダイヤルやボタンで操作するよりはよほど直感的でしょう。
むしろ、MF時以外にこのリングでデジタルテレコンバーター(35mm相当、50mm相当)切り替えができるのは便利です。
X70のデジタルテレコンバーターはもちろん背面モニタ連動ですが、単なるクロップではなくデジタル処理で画素を補完する仕様(フル画素での撮影)となっており、この点はRICOH GR Ⅱと異なります。
画質に満足できれば、28mm、35mm、50mmの単焦点3本を使い分けているに等しく、さらにトリミング耐性も高まることとなります。
X70にはバッテリーの充電器が付属せず、付属の専用ケーブルにより本体内充電する仕様です。
USBからの充電が可能なのは出先などでも便利ですが、予備バッテリーを購入した場合には別売の充電器も揃えた方がよいかもしれません。
充電等のコネクタ類は本体側面の扉を開くと備えられています。
さて、サイクリングに持ち出すにあたっては、レンズバリアがないことがネックとなります。
付属のレンズキャップは質感もよく、はまりもソフトで通常使用に問題はありません(むしろ喜びに繋がるかも)。
しかし、慌てて付け外しをすると落としたりなくしたりしてしまう懸念もあります。
また、キャップを取り外したレンズは無防備で、汗だくのサイクリングでは不安も感じます。
そこで、せめてもとレンズに保護フィルタを装着しようと考えます。
が、X70のレンズ周辺にはフィルタ装着用の溝がありません。
色々調べた結果、下記の構成に落ち着きました。
写真中央にあるのが、フィルタ装着用のアダプターリングです。
本来同社デジタルカメラX100シリーズ用のものですが、レンズ外周部の径が同じため流用できます。
X70専用品もリリースされているのですが、そちらはフードも含めた製品で高価なため、リングのみ必要な私はこちらを選択しました。
社外製と言う選択肢もありますが、質感を踏まえ今回は純正品とします。
そして、フィルタは定番のPRO1Dをチョイス、径は49mmです。
さらにキャップはフィルタに合わせ、エツミ製49mmのものを選択します。
これらをセットしたイメージは、下のようになります。
写真下方に写っているのは、アダプターリング取り付け時に外したレンズ先端部リングです。
アダプターリング、フィルタの装着により、レンズ部の全長は15mm程長くなってしまいます。
しかし、もとより厚さはあるカメラなので、ここは致し方ないと割り切ることにしました。
なんにせよ、これでサイクリング時(それだけはないですが)の取り扱いにやや安心感が生まれます。
もっとも、一番心配なのはカメラを落とすことや自転車での転倒なのですが。
液晶保護フィルムもエツミ製の専用品を購入し、貼り付けます。
以上で持ち歩くための準備は完了。
続いては、いよいよ実写編へと移っていきたいと思います。
実写編に続く
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コメント
すぎです。
カメラの機種選び、本当に悩みますね。
最終的には実際に使って見ないと分からないですから。
私の使い方としては、旅先で行ったことの記録用として、主要ポイント毎に、ささっと2~3枚程度撮ることが多いです。(主にPanasonic DMC-TZ40を使用)
ですので、パンフォーカスで構わないのですが、困るのが露出です。状況によって明るすぎたり暗すぎたり。結構、納得が行くまで時間がかかる場合があります。
また、ツバメの撮影で動画を撮る時は主にPanasonic DMC-TZ70を使用しています。(動画が綺麗、ファイルサイズが小さい。)
なお、両機種のバッテリーは同一型番なので、地味に助かっております。
最近はUSB充電が主流で、ACアダプターはオプションで別途購入が多く、恐ろしく高いのは困りますね。
投稿: すぎ | 2016/06/14 23:17
すぎさん、おはようございます。
そうなんです、店頭でちょっとさわってみるだけではわかりにくいのです。
しかも、サイクリング用途としては実際に走ってみないとわからない点もあります。
記録用と割り切ってしまえば、もっと小型のものもあるのですが、いざという時仕事にも使える画質を・・・と思うと難しくなります。
露出補正とAEロックが簡単にできるカメラがあると、すぎさんの今の悩みは解決しそうですね。
確かに、バッテリーが共通なのは助かりますが、充電器が高いのは困りものです。
今のところ、X70用の充電器は購入していません。
投稿: あさぎり | 2016/06/15 06:51
お久しぶりですX70買われたのですね!
富士はきれいですよね!
わたしはX100・X20・X30使っています
PRO1も使っていたのですが。AFの迷いでイライラで売却してしましました
キャノンはいまは1台も持っていないのですが
前の記事にありましたG1Xマーク2が最近気になり
使ってみたく、安い中古物色中です
G1XM2使ってどうでした?
投稿: 磯丸伊東 | 2016/06/24 09:14
磯丸さん、ありがとうございます。
やはり、FUJIFILMカメラのJPEGの色は美しいですよね。
私も以前X10を使っていました。
レンズ交換式は、マウントを増やすと出費が間に合わないので見送っています。
が、友人はX-T10に単焦点レンズメインで実によい写真を撮っています。
さて、G1XM2ですが、使い勝手は抜群のカメラです。
さすがにサイクリング時に持ち歩くには大きく重かったのですが、画質には概ね満足していました。
AFに関しては一般的なコンパクトデジカメ同様で、やや動きは緩慢です。
ただし、タッチパネルでAFエリアを選択できるのは(G7X同様)とても便利です。
マクロ域ではややソフトな写りになりますが、よいカメラでした。
手離したのは、EOS M2を購入し、完全にキャラが被ったからです。
いまでも、手頃な中古があるとグラッとする程度には魅力的でした。(^^)
投稿: あさぎり | 2016/06/24 09:51
そうですよね!私はキャノンと相性悪く
短期間で手放すのが多いのですが
今さらG1XM2気になりましてグラグラしてます
今のところ富士の操作性の悪さに慣れてしまっているので
カyノン手を出しちゃ!いけないぞ!ってわかっているのですが、物欲!負けそうです
投稿: 磯丸 | 2016/06/24 10:32
G1XM2は不思議と「使ってみたい」と思わせてくれるカメラなんです。(^^)
実際、EOS M2にキットレンズをつけるよりは明るいレンズで、撮影も楽しく行えました(ズームはややかったるいですが)。
欲望には素直に、引き込まれちゃってください! (^^)
投稿: あさぎり | 2016/06/24 10:44
ご指導ありがとうございます
なにはともあれ、使ってみたい!それだけです(^○^)
中古探してみます
投稿: | 2016/06/24 11:57
(^^)
投稿: あさぎり | 2016/06/24 12:17