Canon EOS 5D MarkⅢ
このたび、約1年半ぶりにメインとなるデジタル一眼レフカメラの一台を入れ換えました。
手放したのはEOS 5D MarkⅡ、そして入手したのがEOS 5D MarkⅢです。
思い起こせば、EOS 5Dとの出会いは、2007年9月に父から譲り受けた初代でした。
それを約5年使用し、2012年にMarkⅡへとチェンジ、そして今回MarkⅢと、考えてみればEOS 5Dシリーズは全てを使用していることになります。
今回置き換えのきっかけとなったのはキヤノンのキャッシュバックキャンペーン。
従前より、高感度に強い機種をと思っていたので、これを機に思い切りました。
しかし、個人的資金難の折、やはり父から譲り受けたDSC-RX1とNEX-5Nを合わせ、3機種+レンズを2本を下取りに出しての、ほぼ等価交換です。
EOS 5D MarkⅡは定評あるカメラで、私の不満点は主に二つ。
ひとつはシャッター時のミラーショックが大きく、数値以上にレリーズのタイムラグも感じること。
もうひとつは、今となってはそれほど高感度に強いわけではなく、事実上ISO1600程度が上限と感じていたことです。
さらに、最近めっきり視力が落ちてきているのを感じることから、プロ機であるEOS-1D Xと同等のオートフォーカス(AF)モジュールを搭載しているという点も魅力でした。
注文してから数日で購入店にカメラが届き、早速持ち帰ります。
パッケージはキープコンセプト。
色合い等は異なりますが、これまで使用してきたEOS 5D MarkⅡ、EOS 7Dと同様のものです。
その印象は、パッケージを開封しても同様。
同梱されているものもシンプルで(これは歓迎ですが)、機能的と言えば機能的です。
この価格のカメラとしてのワクワク感は、また別物でしょうが・・・。
本体を取り出します。
MarkⅡは下取りに出してしまったため、サイズや重さの直接比較はできませんが、それほど変わった印象はありません。
もとより、小型、軽量と言うわけではありませんが、バッテリーグリップをつけたEOS 7Dを使用しているためか、全く気にならない大きさ、重さです。
見た目でMarkⅡとMarkⅢを判別できるのは、正面右下の小さなロゴを除いて難しそうです。
次に、背面を見てみます。
こちらも、サブ電子ダイヤル含め、コンセプト的には5D MarkⅡとそれほど変化していません。
ただし、電源スイッチの位置がEOS 7Dなどと同様に左肩のモードダイヤル部に移動し、従来電源スイッチがあった位置にはサブ電子ダイヤルのロックスイッチがあります。
また、マルチコントローラー下には“Q”ボタンが新設され、ここには各種機能を割り当てられるとのこと。
私は現段階で意識的な割り当ては行っていませんが、慣れてきたら設定したいと思います。
ちょっと使って見て一番変わったと感じたのが、撮影画像を再生した際の拡大、縮小の方法です。
MarkⅡでは右側のボタンで拡大、縮小がダイレクトにできたのですが、MarkⅢでは左側の拡大/縮小ボタンを押した後、メイン電子ダイヤルで倍率を変更します。
拡大時の画像送りは従来通りサブ電子ダイヤルで可能なものの、撮影後に画像を拡大してチェックすることが多い私にはこの仕様変更は当初戸惑いとなりました。
しかし、ボタンへの機能割り当てや拡大開始倍率の設定は可能なので、これらと慣れで解決していくことでしょう。
実際、拡大開始倍率をピクセル等倍(フォーカス部)に設定したところ、以前の仕様よりかえって使いやすく感じられるようになりました。
もうひとつ、MarkⅡからMarkⅢになって大きく変わったのが、メモリスロットがデュアルになったことです。
MarkⅡまでのCFカードに加え、SDカードも同時に使用でき、それぞれ別々に使用することや、同時に双方に記録することなどができるようになっています。
これは、以前使用していたEOS-1D MarkⅢなどと同様の仕様です。
また、ファインダの視度補正など、基本的な機能はこれまでのものを踏襲しています。
使用するバッテリーは、5D MarkⅡや7Dと同じくLP-E6。
充電器も同様のLC-E6です。
この辺りが共通なのは、とても嬉しいことです。
予備バッテリーを7Dと共有できるので、持ちだし時の荷物が減ります。
早速バッテリーを充電し、レンズをセットしてみます。
ひとまずセットしたのは、これまた先日中古で入手したEF50mm F1.4 USM。
このレンズをつけると、比較的コンパクトで軽量(自分の手持ち機材比)なカメラとなります。
まずは、メインの被写体である、富士山を中心とした風景を撮影します。
EF50mm F1.4 USMはマイクロUSMモーターを内蔵したレンズで、リングUSMのものと比べるとフォーカス速度はゆっくりです。
このため、5D MarkⅢになってのAFの進歩は感じにくい状況でした。
ただし、5D MarkⅡではほぼ中央一点でのAFのみ利用してきたことと比べると、周辺のAFポイントに積極的に切り替えて行こうという気は起ります。
撮影してみて最初に気になったのは、シャッターボタンの軽さ(ストロークの浅さ)です。
個体の問題かもしれませんが、5D MarkⅡの感覚でAF/AEロックをしようとすると、シャッターが切れてしまうケースが散見されました。
ただし、ここにあまりストロークがあるとカメラブレにもつながるため(実際MarkⅡではその心配があった)、これも慣れの問題なのかもしれません。
シャッターを切った際のタイムラグやミラーショックは5D MarkⅡから大きく改善されている印象です。
先のシャッターストロークも含め、ほぼ狙った瞬間にシャッターが切れる印象でした。
大きなミラーが“バタン”と動いていた感のあるMarkⅡと異なり、MarkⅢではカシャンと言うかんじでした。
ただし、魅惑的な音かと言うと、どことなく軽く、不安げな音であるとも感じました。
もちろん、この辺りは好みの問題も大いにかかわってきます。
いずれにせよ、ミラーショックはかなり軽減されており、手持ち撮影の安心感は確実に増しています。
AF多点化の恩恵を大きく感じるのは、やはり絞りを開けての撮影時です。
特に、被写体との距離が近い時などは、中央でフォーカスを合わせてからカメラを動かして構図を決めると、どうしてもピントがずれがちになります。
こうした時、AFフレームを移動することにより、カメラを動かさずに撮影が可能です。
AFポイントが比較的中央に集中していることから、もう少し広い範囲でピント合わせがしたいという声も聞かれますが、少なくとも動体撮影をしない限り、フレーミング的にこれで充分だと感じました。
風景撮影において、どうしてもこの外で合わせたい場合には、ライブビューに切り替えてコントラスト検出式でのAFを行うという手もあります(速度は遅くなりますが)。
5D MarkⅡからMarkⅢになって、AF関連は大幅に強化されました。
それに伴い、メニューでもAFに関する設定が独立。
61点自動選択、ゾーンAFに加え、領域拡大AF(任意の1点とその周辺8点)なども利用できます。
また、特にエクステンダーを利用した時など、開放F8までのレンズでAFが利用できるのもメリットです(中央1点のみですが)。
5D MarkⅡからMarkⅢに買い替えるユーザーの多くが、このAFの強化をひとつの理由としているのも頷けます。
実際、私は動きものはほとんど撮らないにも関わらず、視力への不安からAFの精度向上は大きな購入動機となりました。
AF速度を体感するために、富士川の河川敷でセスナやグライダーの撮影を行いました。
組み合わせたレンズは、EF70-200mm F2.8L IS Ⅱ USMです。
よく晴れた日で、ISO100、絞りはf5.6で1/800秒程度のシャッターが切れています。
それぞれ、一枚目の中央部を等倍拡大したのが、二枚目の写真となります。
なお、以下の画像はすべてJPEG撮って出し、リサイズのみです。
今回、AFは中央1点で撮影しましたが、この手の被写体ならこれで充分です。
また、連写は最高約6コマ/秒ですが、これまた充分。
私の用途なら、連写も5D MarkⅢのスペックで行けるでしょう。
等倍拡大の画に関しても、まず満足です。
動体を手持ち撮影しており、200mmの焦点距離にこの大きさで写すため、距離は比較的近くで撮っています。
軽く流し撮りをしている条件下でこれなら、私の腕の不足をカバーしてくれるに余りあります。
あくまでも私の被写体の場合ですが、換算焦点距離を伸ばす目的以外でEOS 7D(APS-Cセンサー)を使用する機会は減りそうです。
シャッターレスポンスの改善、AFの機能(精度)向上に加え、もうひとつの買い替え動機が、高感度画質の向上です。
EOS 5D MarkⅡでは、ISO1600程度までは抵抗なく使えたものの、それ以上の高感度はディテールの潰れやノイズ感が少々気になりました。
もちろん、これはシチュエーションや被写体にもよるので、ISO3200などの高感度も使ってはきました。
しかし、5D MarkⅢでは、この高感度画質に関しても改善されています。
下の写真は、上からISO6400、12800、25600です。
これまたあくまでも私の感覚ですが、ISO6400は抵抗なく使うことができます。
そして、ISO12800もシチュエーションによっては充分常用できます。
センサーサイズの小さいコンパクトデジカメで撮ることを思えば、ISO12800の写りも完全にそれ以上。
ISO25600はさすがにノイズが目立つものの、これとて被写体を選べば実用できる印象です。
サイズを縮小してしまっているのでわかりにくいかもしれませんが、これには驚きました。
なお、下の写真は、ゲームで遊ぶ子供たちをISO12800で撮影したものです(我が家は薄暗いです)。
絞りf3.2での撮影で被写界深度は浅くなっていますが、肌の質感含め、5D MarkⅡのISO3200と同程度の感覚です。
以上、ざっとご紹介してきました。
EOS 5Dは、MarkⅡからMarkⅢにモデルチェンジした際、画素数もほとんど変わらず、低感度の画質も変化が少なかったことから、魅力が薄いかと思われました。
しかし、実際に使ってみると、それは大きな勘違いだったことを実感させられます。
もちろん、低感度で三脚に固定し、風景をメインに撮影するという使用法であれば、5D MarkⅡは充分に実用的ですし、今でも最前線で使用できるカメラだと思います(それも驚きですが)。
しかし、動体をAFで追う、ISOを上げて手持ちで撮ると言ったシチュエーションでは、その進化は驚くべきものがあります。
言い方は陳腐でしょうが、まさに万能カメラと言った感がEOS 5D MarkⅢにはありました。
ネックとなるのは、価格(2014年1月現在で30万円弱)と大きさ、重さ(コンパクトデジカメやミラーレスと比較し)、使いこなすには余りある機能性でしょうか。
まだ使いはじめたばかりのEOS 5D MarkⅢですが、被写体が大きく変わらない限り、この機能に頼って撮り続けられそうです。
その進化、予想以上でした。(^^)
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コメント
おはようございます
AF機能の進化と高感度対応がいいですね。
私も中央1点で撮ることが多いのですが、やはりピント
あわせたあとアングルを変えることで微妙にピント
がズレるのが悩みのタネです。フォーカスポイントが
多く配置されていれば積極的に使いたいですね。
感度についてもいまはISO1600まで、人が多いところでは
できるだけ三脚を使いたくないのでISO12800でも使える
なんて夢のようです。
でも、レンズまで含めると、お散歩カメラにするには
大きくて重いでしょうね。トレーニングのための
ウエイトだと考えればいいのかもしれませんけど(笑)
投稿: ちびた | 2014/01/22 09:26
ちびたさん、おはようございます。
正直、当初MarkⅢが出た時には、動体なら7Dで充分と思い、あまり興味を持てませんでした。
しかし、高感度+高速AFが被写体の幅を広げてくれることも事実。
オールマイティに撮ろうと思えば、この機能性はやはり魅力でした。
これまで、EOS-1D MarkⅢを使用していた時も含め、私もほとんど中央1点AFでした。
風景では絞り込むことが多く、動体ではピント抜けが頻繁に起こるため、どうしてもマルチは使いづらいと感じてしまったためです。
5DⅢでは、そんな癖からの脱却も含め、AFポイントを積極的に使っていきたいと思います。
高感度に関しては、もはや驚愕の域です。
室内でこそ大きなデジタル一眼レフは使いたくないと敬遠してきましたが、もはやコンパクトデジカメでは到底太刀打ちできないレベル。
仕方ないので(^^;)単焦点レンズとの組み合わせで室内でも使いたいと思います。
Nikon機と比べるとちょっと地味な印象もある5DⅢですが、このバランスと進化には驚き、納得できました。
お散歩カメラとしても、お勧めです!
投稿: あさぎり | 2014/01/22 09:47